カンボジア&タイ
2008年 9月

一日目 二日目 三日目 四日目 五日目
六日目 七日目 八日目

この日はアユタヤへ日帰り旅行のため4時半前に起きて、途中でトゥクトゥクでも拾えればいいや、という軽い気持ちで『迷い方』を片手にフアランポーン駅を目指す。5時前と言うことで周りはまだまだ真っ暗。殆ど人もいなく交通量も少ない。なるべく夜道は歩かないように心掛けているけど、今回ばかりはしょうがないよね?と自分に言い聞かせる。結局、トゥクトゥクに乗らず『カオサン通り』からフアランポーン駅まで約1時間の早朝散歩になった。

<フアランポーン駅>

早朝だというのに駅構内は思っていた以上の人の数。みんな電車待ちなんだろう、ボーっとしてたり、寝てたり、本読んでたり、地元の人間と旅行者で入り混じっていた。

5:45発の電車には間に合う時間に着いて電車の切符を購入したら6:40発と言われた!?あ・・・れ?よく見たら3等の席は6:40発で、5:45は1等もしくは2等の席。つーか、なぜ当たり前のように3等の席にされたのか不思議だ(笑)まあ、最初から3等の切符を買うつもりだったから良いんだけどさ。そして、これは切符と言っていいのかどうか・・・ヒラヒラしてでかすぎだ(笑)ちなみに3等の席は20B。ついつい日本の物価と比べてしまうけど、1B=3.2円だからアユタヤまで1時間半くらいの距離でこの値段は安すく感じる。

<切符>

で、安いのは良いんだけど1時間近くも暇になってしまった。駅を出て「トゥクトゥク!トゥクトゥク!」という声を無視して、セブンイレブンで水とオレンジジュース10B)を購入、駅へ戻りブラブラして時間を潰して発車時刻が近くなったので構内にある売店でホットドッグ30B)を買って列車に乗り込む。

<車内から>

車内は日本の電車とあまり変わらないが、暗く薄汚い印象。列車は定刻より20分ほど遅れて発車。ホットドッグにかぶりついていると車掌が切符の確認をしてきて、昔の日本の電車のように切符にパンチで穴を開けてくる。あ、そーいえば、物売りが来なかったなあ。

4人掛けのボックス席に座ったが、アユタヤまでそれほど混むことも無く、途中でウトウトしたりしながら到着。ちなみにアナウンスなんてものはないから、近くの人に駅が近づいたら教えてもらうか、注意深く外を見るしかないです。

<アユタヤ駅>

この日も自転車で遺跡巡りをする気満々だったから、トゥクトゥク兄ちゃんの呼び掛けを完全無視して、駅正面からまっすぐ川に伸びた道を進む。途中、レンタルサイクル店を見かけるが、川を渡る前に自転車を借りると追加料金が取られるとのことなので、まだ借りない。渡し舟に乗り込み川を渡る(3B)。

ちなみにアユタヤの中心地は川に囲まれていて島のような形をしている。

渡った後に料金を払い、レンタルサイクル店を探す。『チャオプロム市場』を抜けて少し進むと、GHが集まっているところに出る。すると直ぐに見つかったので、店のおばちゃんに声を掛け、自転車を借りたいと言うと保障としてパスポートを預ける羽目にorz正直、預けたくはなかったけど仕方ないかと割り切って、観光案内用の地図をもらって出発!・・・『迷い方』の地図で回ったから、おばちゃんからもらった地図は一度も開くことはなかったけど。

<レンタルした自転車>

ちなみに、ちゃんとギアなしの自転車を選んだ(30B)。カンボジアの時みたいにチェーンが外れそうになるのはごめんだからね!

まずは近くにある『ワット・ラーチャブラナ』へ。自転車を漕いでいると4人乗りをしている学生から「ハロー!」ときた。なんだあ?と思いつつもこちらも「ハロー!」と返す。くっそー、やっぱりバイクは楽そうだな!つーか、ノーヘルで4人乗りってどうなのよ?と思ったのは一瞬で、カンボジアで既に見慣れた光景なので気にしないことにした。

『ワット・ラーチャブラナ』に到着。ちゃんと自転車を止めるところはあるんだなあ、と一人で感心。30Bを払って中に入る。

<ワット・ラーチャブラナ>

随分とガランとした空間(礼拝堂?)に・・・て、いきなり草刈ですか?どうやら草ぼうぼうにならないように、しっかり管理はしているようだ(笑)

メインの『プラーン』(トウモロコシ型のクメール風の『仏塔』)は威風堂々とそびえ立ち、それに施されているレリーフもまた見事なもの。


<プラーン>

『プラーン』は急勾配の石段で上ることが出来て、眺めが良い。まあ、眺めが良いということはそれだけ上ったということで、それをまた下りなきゃいけないんだけど(汗)

<プラーンから>

上る時には気が付かなかったが、側面から上る石段にはしっかり手摺りがあったorz

内部はアユタヤ時代の壁画があるようなので、恐ろしく急で奥行きのない狭い石段を下り・・・ズルッ。

死ぬかと思いました、はい。足を滑らせあわや転落という所で、狭かったことが不幸中の幸いで、自分でもよく解りませんが足を広げて転落阻止しました。はぁ〜、肘を軽く打っただけで済んだから良かったものの、周りに誰もいなかったから動けないくらいの大怪我だったらどうなっていたのか。まあ、良いほうに考えるとこんな痴態を誰の目にもさらさないで助かったと・・・。

で、命からがら見た目的の壁画は見事にぶれ気味orzつーか、息苦しさを感じるくらい非常に狭いところで、更に転落しかけた直後ということで、早く出たかったというのが本音(笑)


<壁画>

自転車に戻るとトゥクトゥクの兄ちゃんがいた。「自転車で遠い遺跡を回るのは疲れるし、時間がかかるぞ。自転車なら積めるし、1時間400Bでどこにでも連れて行くから乗らないか?」とごくごく当たり前のこと言われたけど、それじゃあ自転車を借りた意味が無いし、「こちとらアンコール遺跡を自転車で回ってきたから、自信ありまくりだ!」と声を大にして言いたかったけど、そこは大人な対応で「お金ないから無理」・・・どこが大人の対応だ?財布を見たらホントに無駄遣いできるようなお金は入っていなかったのでお断りした。正直言うと気持ちが揺れたのは否めないけど(笑)

『ワット・ラーチャブラナ』の次はお隣の『ワット・マハータート』へ。30Bを払って中へ。ここも荒廃が酷い。

ここでは何と言っても有名なのは木の根元に取り込まれた仏像の頭部。これはビルマ軍によるアユタヤ陥落時に破壊された仏像の頭部が、木の成長とともに幹に絡み取られたと考えられている・・・らしい。

<仏像頭部>

この木の横には警備員がいる(汗)きっと、無礼な観光客が、祀られているこの仏像頭部にアホなことをしでかさないためにいるんだろうな。それと、警備員がいるだけでなく柵で囲まれているので触るのは不可能。

周りには形の良い『プラーン』があったり、腕や頭のない坐像など遺跡の破壊を目の当たりにすることになる。これも戦争の影響なのか・・・。


<ワット・マハータート>

ブラブラ見学していると修学旅行生なのか授業の一環なのか、学生がワラワラ。仏像の頭部のところで観光客並みに写真をバシャバシャ撮っている。

警備員に目を向けると・・・警戒していた。何かしでかすんじゃないかと思ったが、キャーキャー騒いでいた学生たちは遺跡の奥へと消えていった。どこも学生は同じだなあ、としみじみ。

『ワット・マハータート』の裏側(?)の池を突っ切って『ワット・プララーム』へ行こうとした・・・が、軽く迷う。自転車なので階段を避けたりしているとあらぬ方向へorz

池には『プラーン』のある遺跡があったりと、どれが『ワット・プララーム』なのか判らなくなってきた。お、落ち着けー、オレ。なんとか魔の池(笑)から抜け出して、漸く到着。

これが『ワット・プララーム』・・・なんか門が閉じているんだが?・・・裏側でした。

仕事をする気があるんだか無いんだか判らないおばちゃんに30Bを払って中へ。

観光客はポツポツといるだけ。ここも今まで同様、戦争による影響が痛々しい。そして腕や頭の無い坐像。ここで気付いたことは坐像は良く見かけたけど、立像はあまり見なかったような。国や土地柄によって仏像の形も変わってくるのか?


<ワット・プララーム>

釣り鐘型の3基の『仏塔(チェディー)』で有名な『ワット・プラ・スィー・サンペット』へ行こうとする途中に象に乗った観光客発見。乗ってみたいと思わないでもなかったが、寺院を訪れる度にお金を払っているのでそんな余裕はなし!おまけに一人で乗ってもなあ・・・。先に進むと象乗り場(?)らしいところがあった。そこには何頭もの象と何人もの暇そうな案内人が。のんびりしてるなー(笑)

<象>

そんな象たちを尻目に進むが、何か暗示にでもかけられているんですかね?『ワット・プラ・スィー・サンペット』に着けない着けない(汗)で、気が付いたら黄色いTシャツを着た地元の人と思われる年配の方々と少数の観光客がいる、よく解らない寺院に到着!?

『仏塔』を囲むように獅子が配置されていている。この獅子が大きな口をあけているから、よくよく見るとシュールな構図だ(笑)

偶然にも着いたここ『ワット・タンミカラート』は僧侶が常駐する寺院であると同時に遺跡でもある・・・と帰国後に知った。ちなみにここはお金は取られなかった。

<ワット・タンミカラート>

この寺院のあちこちに黄色いTシャツを着た人たちは・・・デモ・・・じゃないよな?まさかここまで影響が?・・・深く考えるのはやめた。おそらく参拝者の方々です(汗)

奥に進むと太く大きい柱があり、基壇には後で置かれたと思われる新しそうな坐像。

<参道>

自転車のところへ戻ろうとすると、果物を食べ易い様に切ってくれる屋台を見つけたので、グァバ15B)を買った。刻んだ果物と爪楊枝、それから香辛料を袋に入れてくれる。

<グァバ>

そのままでも美味しかったけど、香辛料を付けると違った味になるので面白い。

その場で食べていると、2〜3匹の野良犬がオレを・・・と言うよりグァバを一点凝視。同じ行動を取るとは、まあ、なんて仲の宜しい事で。そして寄って来る(汗)周りに人がいるから襲われそうになったらどうとでもなりそうだけど、襲われるのはやっぱり嫌だということで逃げる。寄って来る。逃げる。寄って来る。逃(ry・・・って、いつまでついて来るんじゃあ!と言う頃にはすっかり食べきったのでゴミ箱へ。犬も興味が失せたのか、今度は別の人のところへ・・・さようなら野良ちゃん。

水分補給もしたことだし、改めて『ワット・プラ・スィー・サンペット』へ。

・・・あるじゃん。広場にある木々に隠れて分からなかったが土産物屋があるので行ってみると、しっかりと目の前にあるんだが?うーん、完全に見落としてたなあorz

土産物屋が立ち並ぶ道を進むと・・・あ!リスを発見!

<リス>

一瞬のことで驚いた。撮れたことが奇跡か(笑)?

ゾロゾロとツアー客が見えたので、早々と30Bを払って入る。

3人の王の遺骨を納めたセイロン様式の3基の『大仏塔』・・・でかっ!写真に収まりきらない。

<ワット・プラ・スィー・サンペット>

周囲の遺跡は原形を留めていないであろうというくらい酷い状態。なんだか、こういう光景を目の当たりにしていると、歴史を感じる以前に物悲しくなってくる。こういう現実を見ても戦争を続けてしまうの人の性というやつなのか・・・。

3基の『仏塔』の周囲をグルッと歩いていると、注意書きがあった。えーっと、なになに、首の無い坐像で後ろから自分の首を乗せるようにして撮ったりなどふざけた行為は止めろとのこと。遺跡とは言え神聖なものであることには変わりないんだから、そりゃそうだ。

次は隣接している『ウィハーン・プラモンコンボピット』へ。あまりお目にかかったことの無い赤と白の色合いが美しい寺院、と見ていると・・・雨が降ってきた。見学ついでに雨宿りをさせてもらおう(汗)そして、雨からデジカメを守るようにして撮った為か、ぶれたorz

<ウィハーン・プラモンコンボピット>

靴を脱ぎ中へ入る。ここはお金を取られる事は無かった。

目の前にはドーンと青銅製の『大仏』が祀られている。これはタイ最大の『大仏』で現在は金箔が張られているため、金ぴか『大仏』。観光客よりは老若男女と幅広い参拝客が多い。

<大仏>

シトシト雨だがこれくらいは平気だろうと自転車に戻り、出発しようとしたら、雨が強くなってきたorz木の下で雨宿りをしていると、目の前を欧米人がびしょ濡れになって自転車で颯爽と過ぎ去っていった。・・・がんばるなあ。

10分ほどで雨が弱くなったのでに行こうと思ったけど、小まめに休憩を入れないと危険だというカンボジアでの教訓を生かし、コンビニで水とココア10.5B)を買い小休憩。

水分補給したし、日は出ておらず曇りと小雨の繰り返しだからカンボジアの時よりは大分楽だ。それほど疲れてもいなかったし、次へ移動。

小雨の中、道なりに進むと『ワット・ロカヤスタ』『涅槃仏』の裏側の遺跡群から入ってしまったらしく、しかもその遺跡群が広いため『涅槃仏』を探すのに少し手間取る(汗)

そして、ようやく見つけた時の感動と言ったらもう・・・「おにーさーん」・・・感動を返してください売店のお姉さんorz

「買いません」の一言で一蹴して目を『涅槃仏』へ戻す。一つ一つがでかいと再確認。で、頭部のほうへ回ると・・・こんなに平らな頭とは思いもよりませんでしたよ?


<涅槃仏>

『ワット・ロカヤスタ』は無料。次はアユタヤが見渡せると言う『ワット・プーカーオトーン』『迷い方』の地図で見ると島の外にあり、けっこう距離があるようで、自転車は無理か?と思わせてくれる位置にあるみたいだ。しかも地図は途中で道が切れてるし!

何はともあれ向かってみると、遠くのほうにポツンと白い建物が見えた。あ、あれか?あれなのか??・・・だとしたら余裕じゃね?と判断して『迷い方』の地図は当てにならんと勝手に解釈して、進んでいると『ワット・プーカーオトーン』と書いてある看板を発見。道を左に折れて民家が立ち並ぶ道を進む。・・・この道の帰りに何が起こるのかも分からずに。

間違った道でないと一安心するくらい『ワット・プーカーオトーン』と判る距離に来た!ひゃっほー!と喜びと同時に安堵感(笑)

<ワット・プーカーオトーン>

この道から舗装された大きな道路へ出て右に進むと右手に入り口がある。そこには大量のが!(本物ではない(笑))何を象徴しているのか、サッパリ解らなかったが、自転車のまま奥へと進むとどこぞの将軍様らしき銅像(右画像)が。ここも鶏だらけだ。その中でも金と銀の(右画像の左)があるのは一体・・・。

ここ『ワット・プーカーオトーン』ビルマ軍がアユタヤを占領し、ビルマ王が戦勝記念塔としてビルマ様式『仏塔』を建て、現在はタイ様式になっているとのこと。銅像はビルマ王になるのか?

さらに奥へ行くとようやく『ワット・プーカーオトーン』『仏塔』が見えてきた。入り口から長すぎだ!

<ワット・プーカーオトーン>

ここは無料なので、自転車を橋の手前に止めて、漸く歩いて進むことに(笑)このまま真っ直ぐ進んでも上れないので、反対側に回ると階段がある。・・・階段・・・が・・・ね。これまた急な階段でしかも長いorzが、ここまで来て上らない訳にはいくまい!と気合を入れて上る。息切らしながら(笑)

つ・・・着いたぁ〜・・・。左画像は先ほど自転車で通ったとか銅像があった道。入り口が見えないんですけど(笑)ここがアユタヤを一望できる場所。風が気持ち良く、火照った身体を冷やしてくれる。軽くジメジメしてるけど。のどかな田園風景に囲まれていて、心が落ち着く。朝日や夕日など時間帯によってはもっと感動できる場所かもしれない。

隣の寺院には牛やら猫やら鶏やらがいる。あ、あと犬もね。

『仏塔』内部は入り口に懐中電灯が置いてあって、これで奥に行けるらしい。フラッシュを使ったので明るく見えるけど、実際は暗闇です(笑)

<仏塔内部>

行き着いた先には様々なものが祀られていた。そして風が通らないからロウソクの火の熱や線香の煙などが篭ってちょっと息苦しい。しかも蒸し風呂のような暑さ。

<仏塔内部>

『仏塔』から出ると更に気持ちがいい!『仏塔』内部は妙な空間だった。

自転車の所に戻り、次はどこにしようかと地図を見て『ワット・チャイワッタナラーム』に決定。・・・また、これも島の外にあってえらく離れているけど、いっか。ということで出発。

行きに通った道を帰りも通ることにして、自転車を漕いでいると、道を塞ぐ様に茶色の野良犬が2匹へばっている。・・・なーんか嫌な予感だ。近くになると2匹とも顔を上げてこちらを凝視。えーと、今のオレは食べ物は何も持ってないよな。なんでこっちを見るかな(汗)・・・と第六感がオレにもあったのか!って感じで、横を通り過ぎる直前になぜか猛ダッシュした方がいいと思い、足に力を込めると同時に茶色が吠えてきた!

あー!やっぱりね!予想通りじゃん!意表を突いて、何もしないで無視するという選択肢は出ませんでしたか!

・・・まあ、茶色の場合は少し過ぎていたから諦めも早かった。

問題はですよ。こいつは追いかけてきやがったから、さあ、大変。一瞬頭をよぎったのは、タイで野良犬に噛まれて狂犬病を発病した邦人が死亡したという記憶が蘇った。なんですかね、火事場のくそ力?死に物狂い?無我夢中?とりあえず必死で漕いで振り切ったorz

今思うと、一人で良かった。ということだろうか。誰かと一緒に行動して追いかけられたら、果たしてこう上手くいっていたのかどうか。・・・あれ?つーか、誰かと一緒だったらトゥクトゥクに乗ってる気がするから、こんな災難には遭わないか(笑)

ははは・・・はあ〜、怖かった。敢えて言いますけど、これはノンフィクションです!

川に架かる交通量の激しい橋を渡って、『ワット・チャイワッタナラーム』に到着。ここは30B払う。寺院を見学するのに何だかんだで払ってるよなあ、塵も積もれば何とやらで、財布の中身は大丈夫か?と一瞬不安になる。

足を踏み入れると芝生のある広大な敷地に大小の『プラーン』が立ち並び、中央がメインの『プラーン』

<ワット・チャイワッタナラーム>

ここ『ワット・チャイワッタナラーム』はアユタヤ滅亡時にビルマ軍の駐屯基地になった。『回廊』にずらっと並ぶのはその時に首を切られた仏像。その姿は見ていて痛々しい。

<回廊>

そして、どうやら入ってきたところは正面ではなく裏側だったらしいことに気が付く。おいおい、なんてこった。正面は『チャオプラヤー川』に坐像が向いていて、寺院が破壊される前は柱でもあったのだろうか、それとも仏像があったのだろうかと思えるような小さい基壇のようなものが並んでいる。

<正面>

自転車に戻り行きにも利用した橋のところでTVカメラマンがいた。彼が去った後に同じ方向を見てみると・・・なるほど、ここから川を入れた状態で『ワット・チャイワッタナラーム』が見れるのか。ありがとう、ととっくにいなくなっている見知らぬカメラマンに心の中でお礼を言っておく(笑)

<橋から>

川沿いに東のほうへ進んでいると、のどかな風景が段々と活気に満ちた風景に変わる。目指すは壁画で有名な『ワット・スワンダーラーラーム』

川沿いの道を左に折れれば見えてくるらしいのだが、さっぱり見えてこない。地図を見ると通り過ぎてしまっているので、戻るにもやっぱり分からない(汗)自転車でウロウロしていたが時間の無駄と悟り、高級そうな大きなホテルに助けを求めてフロントへ。フロントの人が別のスタッフを呼んでくれて、外まで案内してくれた。感謝感謝!

細い道を進んでいくと漸く到着。・・・こんな道分かるか!

そして野良犬がまたまた道の真ん中でへばっている。何だこのデジャビュは(汗)道の端を通り、野良犬通過〜、となったところでムクリと起き上がり付いて来た。はあー、モテモテだな、オレ(汗)吠えて走ってこられるよりはマシか。自転車を寺院の入り口に止めて、とっとと中に入る。

『ワット・スワンダーラーラーム』は遺跡ではなく今も僧侶が常駐する寺院。壁や天井にびっしり描かれている壁画は圧巻で、地獄絵図や戦、ブッダの教えなどなど、様々な壁画が描かれている。


<左:本堂 右:礼拝堂>

右画像の左端に見えるのが『仏塔』・・・完っっっ全に見切れてたかorz

観光客は誰一人としておらず、地元の人も3人くらいで閑散としていた。写真はお祈りをしている人がいたから内部を撮ることは控えた。周囲がガヤガヤしていたら躊躇うことなく撮っていただろうけど(笑)ちなみにここは無料。

先ほどの犬はどこへやら、いなくなっていた。『ワット・スワンダーラーラーム』へは細い道でなくても、もう少し先に進んでいれば一目でそれと判る入り口があることに帰りに気が付いたorz

『チャオプラヤー川』に別れを告げ、今度は『パーサック川』沿いに北上する。大きな十字路が見えたので右に曲がり、本当に自転車で通っていいのか?と思うような交通量の多い大きな橋を通って島を出る。そしてまた右へ曲がり、昼飯はここで取ろうと店をチェックしつつ真っ直ぐ進む。と、左に『ワット・ヤイチャイモンコン』を発見。これが次なる目的の遺跡。

有名なのだろう、観光バスが数台止まっている。あー、しかもJTBH.I.S.の大手旅行会社かよ。ワラワラと団体さんが・・・すげー多い(汗)20B払い中へ入るも追いつかれたので、いっそのことガイドを聞いてやろうと、聞き耳を立てながら遺跡鑑賞。

中央の一際大きな『仏塔(チェディー)』ビルマ軍との戦いに勝利した記念の際に立てられアユタヤで一番の高さを誇り、途中まで登ることができる。これはガイドさんが言っていたことではない(汗)

<ワット・ヤイチャイモンコン>

途中までついて行ったが、らしくないよね?と考え直しツアーについて行くのを止めた(笑)入り口に戻り見落としている『涅槃仏』へ。これは破壊が酷いため近年再建されたものらしいが、後ろの柱は当時から残っているそうで貴重なものを見させてもらった。ついでに、この時は雨がパラつき始めていた。遺跡巡りが順調に進んでいたのにorz


<涅槃仏>

『涅槃仏』をブラブラと見ていると、足元に何かを発見!・・・あ、猫。なんだか随分と久しぶりに見た気がする。犬とか牛とかばっかりだったからなあ、滅多な事をしなければ襲ってこないし、あ〜、癒される(笑)

<猫>

雨が段々激しく・・・って、やりすぎだろこれ!『本堂』の前にテントが張ってあるので避難(汗)・・・傘?なんですかそれ?・・・カッパ?必要ないですよ?

<本堂>

あー、ツアー客もここに避難ですか、ですよね。つーか、傘持ってるじゃん。使わないならオレに貸して下さい。『本堂』にはハスの花、線香、金箔の「参拝3点セット」を購入して向かう人が多い。現地の人だけでなくツアー客もけっこういた。それにしても日本人のツアー客ばかりで、欧米人や他のアジアの人たちは見当たらなかったな。

雨がなかなか止まないので、いつまでもここに避難しているわけにはいかない、時間は有限だ!ということで小降りになったので、まずは『仏塔』へ。

<仏塔>

『仏塔』周辺には『回廊』があったであろう柱の根元が残っていたりする。さらにそこには数十体の坐像が並んでいる。『仏塔』も圧巻だが整然と並ぶ坐像も圧巻。

ぐるりと回って『仏塔』の裏側に出ると、『仏塔』の下には比較的大きな坐像、更にその手前には手入れ真っ最中の植木が。

<裏側>

いよいよ『仏塔』へ。雨で滑りやすくなっている階段を上る。ふふふ・・・このくらいの急勾配の階段は『アンコール遺跡』や他の遺跡で鍛えられたオレは、なだらかに感じるぞ!と、調子こいていると足を滑らすことになりかねないから、そこは慎重に(笑)

『仏塔』内部は数体の坐像が壁に沿うようにして並び、参拝客は金箔を買って坐像などに貼り付けていく。ちなみに右画像の赤シャツの人が金箔を売っている人だけど、撮った瞬間のこのポーズは祈っている訳ではなく、唯の欠伸(笑)何でこんな決定的瞬間を収めてしまったんだろう。・・・が、これはこれでアリだろ!と撮り直しはしなかった(笑)

<仏塔内部>

天井は板張りにされてあって、珍しく感じた。雨がまた激しくなってきたので塔内でまたまた雨宿りorz赤と白の傘はJTBのツアー客。そーか、ツアーだと傘まで用意してくれるのか。なんて便利なんだ!


<左:天井 右:仏塔から>

雨が止みそうもないので、濡れても良いか、と開き直り自転車のところへ戻る。さてどうしようかと思い、地図を見ると、ちょっと頑張れば『日本人町跡』に行けるんじゃ?ということに気がついた。雨の中、傘もカッパもなしに自転車を漕ぎ始めるオレはバスの中にいるツアー客からの奇異な視線を感じながらも南下する。

進んでも進んでも先が見えないので少しばかり不安を感じた。が、それよりも雨で濡れ過ぎたためさほど雨を感じなくなってきて、どういう訳か気分が高揚してきた(笑)ある意味カラ元気?一人ニヤニヤしながら、ここまで来たらどこまでも行ってやらー!!みたいな妙なテンションです、はい。

一体どれだけ漕いだのか、長い時間に感じたがようやく到着。・・・『日本人村』だけどね!

<日本人村>

どこのサイトでも行っては見たものの大したことないとか、行く価値があるかどうか疑問とか、特に何もないところなどなど、様々な事が書かれていたので入るのはやめて入口手前から撮っただけ。柵で囲われている石碑には“アユタヤ 日本人町の跡”と記してあるようで、かつては“村”ではなく“町”だったらしい。・・・いや、遠すぎてぜんぜん分からなかったけど(汗)それにしても最新版の『迷い方』のはずなのに『日本人町跡』って・・・。

<石碑>

17世紀ころ数千人に及ぶ日本人がここに居を構え、この日本町の頭領でありソンタム王に重用された日本人義勇軍のリーダーだったのが、山田長政。しかし王位継承の争いに巻き込まれ毒殺されたといわれている。

そんな彼の銅像が中にあるらしいけど、それだけのためにお金払うのは嫌だし、それに激しく腹が減って休憩をしたい!と身体が悲鳴を上げていたのでUターン。

時計を見ると15時半くらい。確か乗ろうとしているバンコク行きの列車の時間は・・・16:37発か。ということならすぐに乗れるように駅に近い方が良いか。おバカな考えが後に大変なことに・・・。

来た道を戻っていると途中でスネークショーをやっていたのが目に入った。お客さんは地元の人ばかりに見えた。もちろん休憩が“最優先事項よ”なのでスルー。

線路が見えたので、線路沿いに北上すればアユタヤ駅に行けるじゃん!という結論に至り、急遽変更して線路沿いに進む。事故ってもおかしくないような大通りを横切り漸く駅近くなってきたところで、オープンカフェらしき店を発見したのでそこに転がり込む。残念ながら店の名前は忘れた。というより確認する余裕はなかった(笑)

小奇麗な店で感じは良い。そこでチキンカレー20B)とビール60B)を注文。

よーし、とりあえずビールが多すぎだ。一人でこれを飲めと?日本の居酒屋に出てくる瓶ビールと同じくらいの大きさ。まあ、それでも安いし、無理だったら残せばいいか。絶対残すけどね!

食事が終わりビールを飲んでいると、体格の良い欧米人が話しかけてきた。どこから来たんだとか、どこに泊まっているんだとか、いつ来たんだとかありふれた質問。こちらも拙い英語で何とかキャッチボールができている(汗)で、話しているうちに色々解ってきた。

この欧米人はポーランド人でここアユタヤに居を構えて4年経ち、このオープンカフェはホテル兼用で自分がデザインをしたと言う。「仕事はデザイーナー?」と聞くとタンカーの船長をやっているとのこと。・・・は?センチョウ?船長??「あれがオレの船だ」と指差す先には確かにタンカーの写真が飾ってある。「ここのホテルと何の関係が?」と聞いたら「オーナーだ」と。ははぁ、左様でございますか(汗)現地人と結婚したようで、後ろに奥さんと赤ん坊がいた!あの人奥さんだったんか!何かびっくりしました(笑)「どこを見てきたんだ?」と聞かれたから今日、自転車で回ってきた所にチェックを入れてある『迷い方』を見せると「今日、この時間までにこれを回ってきたのか!?」と少し驚いていた。・・・なんだろう、このしてやったり感は(笑)他にも線路の向こう(東側)に日本人が多く滞在しているエリアがありそこのカラオケボックスは特に多いと言って、「お前は行かないのか?」と言われたが、外国に来てまでカラオケをやりたいとは微塵も思わないので、笑って誤魔化すことにした。

時計を見ると・・・16:15!?

やばい!ということで電車に間に合わないと言って名前を聞かなかったポーランド人と別れる。そして駅に到着。さてと、帰る・・・あ・・・れ?オレってばレンタルサイクルじゃん、これ。しかも川を渡らないと返せないよね?いざとなったら自転車放置で帰ることも一つの手だろうけど、パスポート預けてるよね?なんか、もう色々ダメだよね?

でも、もしかしたら大幅に列車が遅れる可能性大だから、何とかなるかな?

確か川を渡るのに自転車があると追加料金がと取られるんだよなあと思い出し、時間がないというのに敢えて(?)川は渡らず大回りで島に通じる交通量大の橋を渡りレンタルサイクル店に到着。この時、16:40

列車はほとんど諦めた状態で、もし面倒だったらアユタヤに一泊してしまうかというお気楽モードに入った。泊まってみたい宿もあるし、19時からのライトアップも見てみたいし、ほとんど気分次第だった(笑)それでもとりあえず駅に向かう・・・と、幸か不幸か思いっきり遅れていた。16:37発が18:10発に変わっていた(笑)なんだ、そりゃ。

これを知ったからには仕方無い、アユタヤ宿泊はまたの機会にしてバンコクに戻ることにした。フアランポーン駅までの切符(20B)を買って、ベンチで待つことに・・・。

時間は過ぎ、時計を見ると17:50。そろそろ電車が来るころだろうと思い線路を横切ってバンコク方面のホームに移動する。線路を歩いて反対側のホームに行くなんて貴重な体験だ(笑)・・・なぜか移動したのはオレだけなんだけど、これはどういうことだ?と疑問を持ちながら待つ。画像には写っていないが、当然のように野良が2匹いたので近づかないようにした(汗)


<ホーム>

18:10にバンコク方面から電車が来た?な、何だ、これ?もしかしてここで折り返したりしちゃったりするから皆はこっちのホームに来なかったのか??待っていた電車の時間とぴったりで、何やら直ぐに発車しそうな雰囲気。ベルも鳴っていたので、これに乗り遅れたら次は何時になるのか想像もしたくなかったので、ダッシュで電車へ(汗)

・・・小雨が降っていたんですよ。線路は鉄な訳で濡れてたら滑るのは必然な訳ですよ。帽子は暑くてかぶらずに後ろポケットへ入れていた訳ですよ。

ダッシュの勢いでホームから下りたら・・・見事に線路の上に着地して・・・ずっこけたorz電車の乗客が何事かと車内から見下ろしてきたものだから、何だ?この羞恥プレイは!?と思ったし、肘と掌から血が出ていたけど、乗り遅れる訳にはいかない!と構わず走って電車に着く。降りてきた学生さんに「この電車はバンコクに行く!?」と聞いても英語が通じないのか、“?”盛り沢山って顔。不思議そうな顔すんなー!と言いたかったが、さっぱりダメorz

あー、もう、どこに行くのかよく判らないけど、いっその事この電車に乗ってしまおうか。と思った時におばさんが肩を叩いてきて、「これはバンコク行かない、電車は遅れていて、バンコクはあっちのホームで待っていれば大丈夫」と言われた。やっと理解してくれる人がいた!しかもホームまで教えてくれるなんて!あまりの嬉しさに抱きしめたくなりました・・・しなかったけど(笑)

ちなみにおばさんが教えてくれたホームは、最初からオレが待っていた線路を渡ったホーム(笑)もう笑ってしまったよ。はっはっはっはっはっ。

先ほどの人のいないホームで待っていると、何を言っているのか全く解らないタイ語のアナウンス。これは・・・もしかして。そう思って人がわんさかいるホームに戻り、時刻表(駅員がホワイトボードにマジックで書いてあるだけ)を恐る恐る見ると・・・案の定、電車がまた遅れていたorz今度は18:40発とのこと。そしてハタと気が付く・・・帽子はどうした?恐らく転んだ時だろうなあと思い線路を探すが見当たらないorz今日はこういう日なんだろう、と諦めた。

結局、19時前に出発。なんか遺跡巡りよりもアユタヤ駅で疲れた・・・。車内は混んでなく、寧ろガラガラだったので余裕で座れた。

4人掛けのボックス席で景色を見ていると、前のおばさんが話しかけてきた・・・タイ語で。何を言っているのかさっぱりで、どうしようかと思っていたら若い人が「ジャポネ、ジャポネ」と「こいつは日本人だ」教えていたようなので、オレはタイ人に間違われたんだろう(笑)

フアランポーン駅に20時過ぎに着き、流石に歩いて宿に戻る気力は無かったので、トゥクトゥクかタクシーを使うことにする。

駅構内から出ると、早速トゥクトゥク兄ちゃんからお声が掛かる。腕を掴まれ「トゥクトゥク?トゥクトゥク?」と。随分と強引な兄ちゃんだ。『カオサン通り』までの値段を聞くと「100Bだ」と面白いことを仰ってきたんで、30Bから交渉を始めた。結局、トゥクトゥク兄ちゃんは70Bから下がることはなく、オレは60Bより上は払う気がないと言ったのだが、まあ、このトゥクトゥク兄ちゃんはかなり強引だった。取りあえず乗ることになり、『カオサン通り』へ。

カンボジアのトゥクトゥクと違って外観がド派手というかけばけばしいというか。しかも運転がめちゃくちゃ荒い。前の車を何度煽っていたことか。写真に収めてみたものの揺れが酷くてブレまくった(笑)

<トゥクトゥク>

『カオサン通り』に着いたので、少し強めに「60Bでいいよね?」というと笑いながら了承してくれた。根は悪い奴じゃないんだろうけど、いきなり100Bは高いよ(笑)

夕食は昨夜食べた通りの屋台でトムヤンクンライスオレンジジュース75B)を食べた。オレが思っているトムヤンクンとは違っているような気がしたが(店のメニューにはトムヤンクンと書かれていた)、美味しいので気にしないことに・・・あ、を発見しました隊長!・・・足ではなくトムヤンクンの中に(笑)この死骸だけはどかして食べた。気にしてたら何も食べれないしなあ。あと、オレンジジュースが濃くて美味しかった。

<夕食>

『カオサン通り』の店を覗いたりして雰囲気を楽しんだ。ここは22時を過ぎてもまだまだ賑やか。まあ、0時を回っても音楽が聞こえるくらいだし。

宿に戻り、鏡を見ると・・・また日焼けしている!?二の腕の日焼け具合が二重になっているという、この恥ずかしい日焼けはどうしてくれるんだ(笑)?

アユタヤは転んだことと帽子を無くしたことと、犬に追いかけられたことを除けば、また訪れたいなあ、と思った。北東の遺跡とライトアップを見ていないし、今度はのんびり過ごしたい。

6日目はバンコクの寺院を回る予定なので、久しぶりに早朝起床ではなさそうだ(笑)アラームをセットして就寝zzz

一日目 二日目 三日目 四日目 五日目
六日目 七日目 八日目

Travel